人と猫の共生　昔からの夢をかなえた場所

―御社の事業内容について教えてください。

池袋、板橋、久米島にて保護猫カフェを運営しています。人とペットという関係性ではなく「人と共生する環境」を目指したカフェです。昔は猫を飼っていたけど今は飼えないから遊びに来たという方や、里親として猫を探している方、保護活動はできないけど猫たちの面倒を見に来てくれる方など様々な方々が遊びに来てくれています。店舗によって遊びに来てくれる方々の属性は様々ですが、初めて猫と触れ合うという方もたくさんいるので友達の家に遊びに行く感覚で遊びに来て欲しいです。

―どのような経緯で起業されたのでしょうか？

起業した理由で言うと「猫がもともと好き」という理由になります。
私は以前、航空自衛隊に勤めていたのですが、震災等があると猫の居場所がなくなってしまうというのは知っていました。
仮に助けたとしても居場所がないことが多く、そんな課題を解決するために保護猫と里親をマッチングするような場所が作りたいというのがきっかけです。
個人で保護猫活動をしても限界があるので一匹でも多くの猫を救うのには、猫と人の出会いの場を作るのが良いと思ってました。

―以前から起業したいという気持ちはあったんですか？

学生時代から自分で何かやりたいという気持ちはありましたね。
自分は苦手だったんですけど、いつの間にか生徒会長や学級委員だったりとリーダーをする機会が多かったです。周りが勝手についてきてくれるような性格だったんですかね。
自分がやりたいことを極めたいという想いも強かったので、好きなことが猫だと気づいてからは自分で何かやろうとは思っていました。

猫との出会いと別れを経験

―保護猫活動で大変なことはなんですか

保護活動をしたいという想いは強かったもののたくさんの猫たちを実際に保護するというのは初めてだったのでそれは大変でした。ケアのスキルを早急に身につけないといけないですし、保護をする中で猫が亡くなってしまう経験も当然ですがすることになるので、それが一番つらかったですね。
命ってすぐ亡くなるんだな、という現実に直面して立ち直れないような気持ちにもなりましたが、他にも守らないといけない猫がたくさんいたから悔やんでいられない、前を向いてやっていくしかないと自分を奮い立たせていました。

―具体的な猫と人の共生エピソードはありますか

久米島での活動は「不自由な猫を減らす」という目的で始めたものの、猫の被害を受ける家庭があるのも問題になってきたんです。糞尿問題もそうですし、そもそも猫が嫌いって人だっていますからね。
猫を起点に人間関係や環境問題を改善するようなことも目指していて、全体を考えないといけないと思いますね。じゃないと人間との共生なんてできないです。お互いが許しあえる地域環境づくり。今では久米島は猫の殺処分がゼロになっているので、行政と連携して観光地として猫に優しい町という魅力付けもしていけたら良いなと思っています。

長期的に保護猫活動を継続するために

―今後の展望を教えてください。

保護猫活動だけではなく収益もちゃんと作っていけるような仕組みづくりも大切だとは感じています。
お金を稼ぎたいというよりは、それができれば猫に対してできるケアの種類が変わっていくんです。もっと幅広い治療ができるようになったり、里親探しもさらに加速してできるようになる。ビジネスとして儲けていきたいというよりは猫に使っていける資金が増えるということですね。
周りを見てもボランティアで終わってしますと長期的に継続ができないので、長期的に猫を守っていける仕組みを作りたいです。

―保護猫活動に対する想いを聞かせてください。

地方に行くと普通に日常生活で野生の動物と触れ合うこともあるので、動物との距離とか命の距離が近いんですよね。
逆に都心に住んでいるとあまり不自由な動物とかって見ないじゃないですか。なので命との距離は遠いのかなと感じます。
もっともっと人間と動物が共存できる環境を作っていきたいし、そこで命と触れ合うことの大切さがわかると猫がきっかけで人間同士のつながりも深まる。そんなような命の大切さというのは毎日身に染みて感じますね。

―最後に、起業を目指す人へアドバイスをお願いします。

起業するならやりたいことをやってほしいです。
なぜなら失敗しても踏ん張れるから。嫌いなこととかやりたくないことで壁にぶつかるといつか折れてしまうかなと思います。私もたくさんつらい思いもきつい思いもしたけれど、猫が好き、猫を守りたいという気持ちが強いからここまで継続できているんだと思います。
大義名分を持てるような起業をして欲しい。お金を稼ぎたいでもいいけど、稼いだあとに何をしたいかというのが大切です。