サイトロゴ

仕組みとコミュニケーション
両輪で社会課題の解決を

OSPハートフル株式会社

代表取締役社長那須 元樹

Motoki Nasu

OSPハートフル株式会社 代表取締役 那須元樹

インタビュー概要

ABOUT

障がい者雇用に注力をしながら、シール・ラベル印刷に必要な版の加工及び版倉庫の管理を行うOSPハートフル株式会社。
同社の代表である那須元樹さんに創業のきっかけや会社に対する想いを伺いました。
特例子会社として障がい者が活躍できる場所を作る使命とやりがいは必見です。

TRIGGER

01

グループのダイバーシティを推進させるために

グループのダイバーシティを推進させるために

Q.御社の事業内容について教えてください。

OSPグループのコア事業であるシール・ラベルを印刷する際に必要な版(ハンコ)の加工と版管理を、大阪シーリング印刷(株)の大阪工場内で行っています。

Q.障がい者雇用を推進する、 特例子会社を設立した背景を教えてください。

グループにおいて法令遵守と障がい者の戦力化、雇用のノウハウを蓄積するためです。
2013年にグループ内で改編があり、株式会社OSPホールディングスを設立して持株会社体制へ移行しました。分社化が進むなかで、各社で障がい者雇用をしなければならないが雇用のノウハウはない状態でした。
法定雇用率の見直しがあった2018年には、定年などの理由で退職者が多く、法定雇用率を大幅に下回る状況になりました。個々が能力を発揮し活躍して定着している職場がある一方、定着しない職場もあり人員確保が課題でした。
そこで職場環境を整えることで障がい者の戦力化を実現できたら、グループにとっても実際に働く方にとってもメリットがあると確信し、新会社設立を会社へ提案したのがきっかけです。最初から障がい者雇用が目的ではなく、スモールスタートで雇用のノウハウを蓄積させ、グループ内で展開したいという考えからでしたね。

Q.事業内容(業務)を決める際に意識したポイントは何ですか?

新会社設立により、グループ全体の課題解決できる業務であること、障がいの有無に関わらずできる業務であること。その両軸で選定しました。その中で版(ハンコ)の加工と版管理を新会社で行うことで、印刷業務がスムーズになると考えました。
当時も生産年齢人口の減少から、製造部門の人材確保が年々困難な状況でした。業務の省人化を推進することはもちろんですが、雇用が安定しないことには事業の継続はありえません。まずは職場環境を見直してダイバーシティを推進することで、障がいがある方の働く課題が解決できるのでは?と考えました。障がいがあってもできる業務はたくさんありますからね。実際に個々の特性と業務内容を上手くマッチングさせることで職務の幅が広がり、当初の計画よりも大きな成果が出ています。

グループのダイバーシティを推進させるために

TRIGGER

02

大切なのは“配慮はする”が、“遠慮はしない”こと

Q.仕事のやりがいを教えてください。

従業員が前向きな姿勢で仕事に向き合い、個々の能力を伸ばしながら成長していることを感じた時です。
会社を設立した1年目に数名が退職しました。理由はそれぞれにあると思いますが、振り返ると私の経験値が低かったこともあるでしょう。しかし、ここ直近2年の退職者は0名です。毎年一回、従業員満足度調査を行っていますが、満足度は年々上がっており、昨年は92%が満足、“障がいへの配慮”の有無の質問には「配慮されている」という回答が100%でした。社内で伝え続けてきた考え方が理解され、障がいに対する配慮が浸透している手応えを感じました。

Q.会社経営において心掛けていることは何ですか?

「障がいの“配慮はする”が、“遠慮はしない”こと」です。
会社は存続していくためには利益をださなければいけません。
障がいが理由でできないことは助け合い、難しいことは工夫して戦力になっていただきます。工夫や配慮を行うためには、正しい知識がないとできません。親切心で配慮したことが相手にとっては不快に感じることもあります。「自分がその立場だったら?」と常に考えつつ、過去の経験や思いに偏らないことを心がけています。そのために積極的に外部研修を受け、他社にも見学に行き、広い視点でとらえられるように情報は常にアップデートしています。

TRIGGER

03

制度を本当の意味で使える制度にするためには

制度を本当の意味で使える制度にするためには

Q.定着する職場づくりで大切なことは何ですか?

心理的安全性の高い職場を作り、従業員のマインドや姿勢を変えることです。
会社はさまざまな制度を構築します。仕組みを構築することは大切ですが、それだけでは定着しません。実際に定着させるためには、従業員の働く姿勢が最も大切だと考えます。
例えば、「相談しやすい環境にしたい」という目標を設定した場合、すぐに相談できるでしょうか?人は自身の悩みを他者に打ち明ける場合は勇気が必要です。誰にでも相談できるという人は少ないのではないでしょうか。相談できる!ということは、自分が心を開いて信頼している方にしかできないです。

Q.では、どうすれば「信頼」は得られるとお考えでしょうか?

それは、日々の小さなことの積み重ねだと思います。相談された際に、親身になって話を聞く姿勢、対応できること・できないことを整理して、一緒に課題解決の対策を考えるなど、寄り添ってくれるかどうかです。もし相談して雑な対応や放置するようなことがあれば、次に相談を受けることはないでしょう。
仕組みも大切ですが、コミュニケーションの積み重ねも同じくらい大切です。
この2つが両輪となってバランス良く回ることで、やりがいを感じ従業員が定着する職場につながります。

Q.最後に今後の展望を教えてください。

取り組み段階の最中ではありますが、大きく2つあります。
一つ目は、これまで蓄積してきた雇用のノウハウをグループに展開して、「OSPグループはダイバーシティ&インクルージョンが実現できている」と社内外から認知されることです。障がいがあっても働くことができる環境づくりは、障がいがない方にも働きやすい職場ということになります。二つ目は、OSPグループ以外の業務を社外から請け、個社として独立採算できる会社にすることです。
障がいがあっても能力が高い方はたくさんいます。、OSPグループをはじめ社会全体に貢献していきたいです。私が大事にしている言葉の一つに「三方よし」があります。まさにそれを実現したいですね。

制度を本当の意味で使える制度にするためには

障がい者雇用を始めようと考えている方へ

MESSAGE

初めて障がい者を雇用する企業の方は「不安」が大きいと思います。それは、着手することが整理されていないため、「分からないことが分からない」からではないでしょうか。
しかし、何か特別なことやレベルが高いことをする必要はないのです。
誰にでも得意なこと・不得意なことがあるように、障がい者にとってできること・できないことがあります。それは個性の一つです。
当然ながらハンディキャップがあるので、前述の通り“配慮”は必要です。仕組みや環境を整えることを前提に、コミュニケーションを取りながら相手の意見を取り入れること。それをくり返し築き上げるイメージですね。お互いにとってベストな関係や状況を作っていこうという姿勢があれば、良い流れが生まれて事業は成功します。

OSPハートフル株式会社 代表取締役 那須元樹 プロフィール

プロフィール

PROFILE

OSPハートフル株式会社代表取締役社長

那須 元樹Motoki Nasu

1984年生まれ。兵庫県出身。大学を卒業後、建築・不動産関連の会社にて営業を従事。2009年に大阪シーリング印刷株式会社に入社。資材部に配属され、約半年後に人事部に異動。新卒・中途・障がい者の採用、労務の一部を担当。特例子会社の発起人。2019年に特例子会社であるOSPハートフル株式会社を設立。今に至る。

企業情報

COMPANY
社名OSPハートフル株式会社
住所

大阪市平野区加美北5丁目8-31

設立

2019年9月

事業内容

印刷物の版の加工、管理

従業員数

44名(うち、障がい者26名)

HP

https://www.osp-heartful.co.jp

ページの先頭へ